薬指~未来への誓い~
『真吾ぉ…私はね、笑って…最後まで真吾と笑って終わりたかっただけなんよ?真吾と幸せになれるって、幸せ噛みしめながら笑ってみんなにありがとうって言いたかったんだよ…?
贅沢がしたかったわけじゃない。特別になりたかったわけじゃない。
ただ、ただ普通に笑ってありがとうが言いたかった。でも…出来なかった。
……贅沢なのかなぁ?私が想い描いた真吾との幸せな挙式は特別だったのかなぁ?』



真吾は黙っていた。



涙を拭う事も忘れて、別れの決意を伝えた私に対して、少し顔を歪めて黙っていた。





『私…由樹さんがいても関係ないって思えたんだよ?でも、やっぱりダメだった…。ごめんねぇ、真吾。私、弱いからやっぱり耐えれなかったよ』


『倖知が謝る事じゃないよ…。悪いのは、全てに区切りを付けてなくて、倖知を守れなかった俺だから……』



真吾は私の瞳から視線を外し、うつむく。



真吾の強い瞳が私の前から消えた。



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