薬指~未来への誓い~

こぼれ落ちる涙

その日は朝から空気が澄みわたり、
青い空が広かっていた……。




『倖知!?支度出来た!?そろそろ行くわよ~』

『今行く!!』



私は制服のリボンを絞め直し、両親と共に無言のまま葬儀場へと向かう。




彩のお父さんの葬儀は、まだ落ち葉が散りはじめたばかりの初秋の候に

しめやかに…しめやかに いとなわれた。



受付を済ませ斎場へ入ると、黄色い菊の花に囲まれてみんな大好きな えくぼ笑顔のおじさんの遺影が上段に飾られていた。


中段にはお棺…。





『―――おじさん…』


今まで私は、おじさんが亡くなったと聞いても、いまいち実感が沸かず現実的には考えてなかったのかもしれない。



きっと…また彩との登校中にクラクションは鳴るのだと…。





けれど……

空間全てがはりつめ、息をする事すら忘れてしまいそうなリアル……。






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