薬指~未来への誓い~
私たちは、無言のまま近所の小さな公園へ向かった。
もう夕方で冷え込んで、公園には誰もいなかった。
赤いペンキの塗ってあるジャングルジム…
小学生の頃におじさんと一緒に遊んだジャングルジム。
『懐かしぃ~♪♪』
彩は小走りでジャングルジムに駆け寄り一段登った。
『彩…??』
『倖知ぃ~??人が死ぬのってさホントあっという間なんだね…』
彩のお父さんは仕事中に倒れ、救急車で運ばれたものの病院に着いた時にはもう―――。
彩は涙を瞳からこぼさないように空を見上げていた。
『おじさん、ちゃんと彩の事ずっと見てるよ…』
ずっとずっと
ありきたりな事しか言えない自分の無力さに嫌気がさす…。
『ほら、みんないるからさ!!私もいるじゃん!!』
『―――分かったような事言わないでよ…』
彩の声が低く、震えている…。