薬指~未来への誓い~
『でも……』
『でも…なによ!?分かったような事言わないでよ!!倖知に私の気持ちのなにが分かるの!?家族が1人いきなり死んじゃうんだよ!!あっという間に、冷たくなっちゃうんだよ!?!?』
彩は大粒な涙を流しながら心の苦しみを私に叫んだ…。
“でも………”
この先、私はこんな彩になにを言おうとしたのだろう…。
『どうせ他人事で私に同情してるだけじゃない!!!倖知も他の人と何も変わらない!!!みんなみんな可哀想な子を見る目をして、“大丈夫?元気出して”なんて簡単に言う!!私やお母さんの気持ちなんて分かんないくせに!!!!』
あ…そうか。
そうだね、彩。
私、やっと分かったよ……。
『分かんないよ。私には彩の気持ちなんて分かんないよ…』
私は自分でなにを言い出したのか…
どうしてこんな事を言い出したのか…
今になっても分からない。
けど…
回りくどい言い方なんて、私には分からない。
上手な慰め方なんて、私には分からない。
だから…――――