薬指~未来への誓い~
私は太ももに“生暖かいもの”を感じた。

その“生暖かいもの”を触る。


赤い……


赤い……


私の鮮血――――



『倖知ぃ!!!!!』


真吾が悲鳴にも近い声で叫ぶ。



真吾はすぐ近くにいたのに…


私には真吾の声は
遠いところから呼ばれているように 霞んで聞こえた。








あぁ…そうか……




神様なんて、いないんだ―――








お腹の鈍痛と、出血を感じた瞬間、私は全てが暗闇になった世界にいた。



真吾??私ね、この子だけは…守りたかった。

真吾??ごめんなさい。



私…この子すら守れなかった。



真吾??



私の声は聞こえてますか??




あなたの声が…



聞こえません―――――



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