夜の雨の香りと貴方。
「な!!!?」
「あ、泣き止んだ。」
何それ何それ!
安心した顔をする彼を目の前に、触れ合った唇を無意識に触る。
「ふ……ぅぅぅーっ」
そして再び涙が溢れ出した。
何この人!
いきなりちゅーするとか考えられない!
人じゃない!宇宙人だ!
突然のことに私の思考回路もパニックになる。
いやでも、本当にあり得ませんってば。
「ちょ、またそんなに泣いて。
……ファーストキスだった?」
「うるさいっ宇宙人!
返せー返せーっ!」
彼の肩を思い切り揺さぶる。
それにわざとらしく合わせて体を動かす姿にムカついたけど。
「宇宙人って何?俺金星がいい。」
「なんで!」
「金曜日が好きだから。」
世界一どうでもいい彼の情報を得たところで、
私は再び部屋から逃げようと決心した。