夜の雨の香りと貴方。
「嫌い。」
ティッシュ片手に戻ってきた彼にそう告げる。
「あ、やべ。聞こえた?」
「はい。ティッシュそこにあるし。」
「あららー。」
「あららじゃない!」
ほんとにもう。この人…宇宙人は。
何故今日会ったばかりの人にくしゃみを爆笑されなきゃいけないの。
デリカシーってものがないの?
…ないか。そうですか。
「湯冷めした?」
「たぶん。」
「そうか。でも多分今するから温かくなるよ。」
するって何をですか。
「私、寝ます。」
「ええっ。しないの?」
だから何を。
「…やっぱりこのまま出て行って、雨に打たれて風邪引いて死んだ方がましです。」
「そんなにか!
ははっ。嘘嘘。俺はそんなに飢えてません。」
「そんなの知りませんよ。」
「む。俺、モテるんだからな。」
「嘘だ。」
「残念だったな女子高生よ。本当です。」
嘘っていうか、信じたくない。
いきなりちゅーする宇宙人がモテるだなんて信じたくない。