夜の雨の香りと貴方。
コウさんが畳んだスウェットを素早く着て、
起きてろと言われたけど寒くて布団に潜ってしまった。
冷静に考えてみると、正体不明の自称サラリーマンな男の人についていくとか私どうかしてる。
本物の不審者だったら…と考えるだけでゾッと冷や汗が出る。
今頃本当にヤられてたか、人身売買されてたに違いない。
でも実際はお風呂貸してもらって、下着も買いに走らせた。
すごくギャップがありすぎる。
私はここからいつ出ていくのかな。
何故だか彼にすがっていたい、という気持ちがある。
きっと甘えてみたいんだ人に。
そして彼なら受け入れてくれる、そんな気がして。
夢みたいな世界にも雨は降る。
午後8時を回った頃。
雨の音を遠退く意識の中聞いていた。