夜の雨の香りと貴方。
「だ、れ…………重い。」
右半身がやたらと重い。
それと息苦しい。
寝ぼけた目を開いてみると、そこには真っ暗な世界が広がる。
え、まだ夢?
とか考えてみて、それを確かめるべく今度は嗅覚を使ってみる。
洗剤とか石鹸の匂い。夢の中ではない。
じゃあここはどこ?
って、それより重い痛い。
締め付けられている身体を後退させてみると、
「くぅ。」
謎の声と共に身体が重みから解き放たれた。
「く、苦しかった…。」
元の位置から離れてみると明るい世界が広がっていた。
あー。もう朝なんだ。
そう実感してみると、今までの真っ暗な視界は何だったんだと疑問に思う。
そして。
「もーちょっと。」
声が聞こえると、
「…へ?ひゃっ!!」
元の位置に引き戻されてしまった。