夜の雨の香りと貴方。







「ここ座って。」


「あ、ありがとうございます。」



指示された通りに黒の食卓テーブルの椅子に腰掛ける。

朝ごはんにするらしい。



「ね、見て見て!ワッフル焼くやつ買ったんだー。」

新品のそれを嬉しそうに自慢してくる。


やばいな、ちょっと可愛い。



「誰にも自慢できなくてさー。てか、1人で焼いて食べるのも虚しいし。雨音のために焼いちゃいます!」

「…何歳ですかあなたは。」

「え、21。」


21でそのはしゃぎ様…。

私より4歳上でそんな感じですか。



「なーんだよその顔。」


「別に。」


「出た!エリ●様ならぬ雨音様!」


「それ古いです。」


「ええー。

あ、そうだ、今日俺仕事だからお留守番しててね。」

お留守番?


この人は見ず知らずのどこぞの小娘かもしらない人にお留守番をさせるの?


「あの、その…。」

何と返事をするべきか困っていると、


「あーなぁにー、寂しいのかー。」


猫なで声でアホなことを言ってきた。


「別に寂しくなんかないです。」


「出た!ツンデレ雨音様!」



……一発殴っていいですか?





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