夜の雨の香りと貴方。
こんなアホな会話を存分に繰り広げて数十分。
朝食を食べ終えたところでコウさんが立ち上がった。
「もう準備するね。」
「え、あ、どうぞ。」
「ソファーでテレビでも観てて。あ、俺のこと見つめるのは禁止ね。」
「見ません。」
フッと笑って洗面所に向かう彼を見届けてから、指示されたソファーに座ってみた。
黒革のソファーなんだけど、堅過ぎずふかふか過ぎず。
自称会社員のくせして良いもの選んでいるんだなーと思った。
[今日の星座別運勢の時間です]
たまたまテレビをつけた瞬間に占いが始まった。
チャンネル別で言うこと違うんだけど、なんだか昔から観てしまう習慣がある。
土曜日は占いやってる番組あまりないし、今日も観ることにしようかな。
[━━━━━━でした!今日もラッキーな日にしましょう。]
うん、呆気なく12位。
ちょっと観たこと後悔。
「へー。雨音12位か。」
「えっ!?」
いつの間にか食卓テーブルの椅子に跨がっているコウさんが言う。
歯ブラシ片手に。
「なんでわかったの?」
「顔に出てる。」
そんなこと今まで一度も言われたことない。
昨日といい本当にこの人は人の気持ちがよくわかるんだなと感じる。
その特技結構羨ましい。