夜の雨の香りと貴方。
紅茶を飲んではテーブルに置き、
紅茶を飲んではテーブルに置き。
洗面所に行ってはリビングに戻ってきて話しかけて、
洗面所に行ってはリビングに戻ってきて話しかけて。
質問攻めに合うために紅茶の消費がものすごい。
黙ってさっさと準備とかできないのかなこの会社員は、と思ってしまう。
「はー。準備完了!」
「長いですね随分。」
「えー?
……………あ!!」
急に声を上げる彼。
驚いた顔も綺麗だったりして。
「やばい!集合時間!」
「集合時間?いつ?」
「2分前!」
2分前。
集合時間にまだ家にいるって、かなりマイペース。
「ちょ、やばい!
行ってきます!
あ、俺帰ってくるまでちゃんと此処いてね。」
「はーい。
ってコウさん!」
既に玄関で靴を履いている彼を呼び止める。
「これ、これ!
車の鍵!」
「え、あ!さんきゅ」
しっかり手渡しして。
ついでに私の手まで持っていかれて。
「え?」
「充電。
…………よし!頑張れる。」
携帯じゃないんだから、とツッコミたい気持ちを抑えて。
「いってらっしゃい。」
「いってきまーす。」
昨日まで赤の他人でしかなかったコウさんを送り出した。