夜の雨の香りと貴方。
呆気に取られて、ただ過ぎ去った車を振り返って目で追っていた。
そして、車が曲がり角を曲がった辺りで我に返る。
…………冷たい。
携帯ばかりか、私まで故障しそうなぐらい濡れてしまった。
地肌まで濡れている。
けど思い付くことは、
[明日の制服をどうしよう]
ではなく、
[おばさんに何て言おう]
とりあえず「遅い」と言われることは確実で、
「何故濡れているか」と問われたら………
正直に言って信じてくれるはずがない。
また、迷惑しかかけない奴だと思われておしまいだ。