夜の雨の香りと貴方。





『今回は……で、……という感じになっていて。』


やっぱり。

確かにコウさんの声だ。


昨日今日聞いていたから間違えるはずがない。



トイレ行ってる間に帰ってきたのかな…?


音聞こえなかったけど。



真っ白なタオルで手を拭いて、リビングに戻る。


「…あれ?」


さっき飛び出した後と何一つ変わってないし、人影も見当たらない。



ベッドルームにいるのでは、と思い覗いてみるも、

「やっぱいない。」


絶対に声聞こえたはずなのに。

空耳や幻聴なはずないのに。


でも会社に行って戻ってくるのもおかしいし。



不思議に思ったまま仕切り直そうとソファーに座ると。



『はいっ。嬉しいですね。』


「…………あ。」




目の前に。


目の前のテレビの画面に映る





コウさんがいた。





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