夜の雨の香りと貴方。





まったくもって信じ難い。


会社員じゃなかったわけ?



画面の奥で笑顔を振り撒く彼を無意味なことにも睨んでみる。



会社員でもホストでもこの際よかった。

でも芸能人って。


彼が彼であることには何ら変わりはないけれど、これは私自身の問題。

妙にその職業が特別なものに思えてしまって。



例えばまさに鶴の恩返しのような展開。


人間が鶴だったら驚く。


人間が芸能人だった時でさえ私は驚き、焦る。



唯一の救いは私が芸能界でコウさんの存在を知らなかったこと。



ちょっと、冷静。





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