夜の雨の香りと貴方。
『さて次は伊藤ちゃんが日本グルメを追究するコーナーです!』
色々と思考している間に画面からコウさんの姿はなくなっていた。
……これからどうする?
逃げ場のない私がどうもこうも出来ないんだけど。
逃げる理由もないし。
でもよく考えたら留まる理由もない。
それでも私をここから動けなくするものは、彼の何かだと思う。
漠然とし過ぎててわからないのだけれど、瞬く間に私を手懐ける彼の言動であって。
いやいや、っていうか私手懐けられてたんだ。
気付いてなかったわけじゃない…けど。
ここに踏み込んだ時点で相当どうかしちゃってるし。
お風呂とか暢気に入っちゃってるし。
他人の前で下着姿晒しちゃってるし。
…一緒に寝ちゃってるし。
出会った瞬間に手懐けられてたんじゃないかと思うほどなんですが。
来るとこまで来てんじゃん私。
我ながら尊敬する。
あ、悪い意味で、ね。
「ふぁー。」
なーんか考えてたら疲れちゃった。
もうどうでもいいや。
コウさんが帰ってきてから、問い詰めて、色々今後を選択していく。
それで決定。