夜の雨の香りと貴方。
「む………んんんー」
あー、何か全身に寒気…が。
「雨音ー。」
いや、名前呼ばれてる場合じゃなくて布団取りにいかなきゃ。
風邪をひく。
「雨音さん?」
しつこいな、でも起きなきゃ布団が、
……は?起きなきゃ?
――――ガバッ
「うおっ、急に起きるねー。」
「な、に。え、なんだこれ。」
辺りは真っ暗で。
さっきまで朝だったのに。
目の前にはソファーの前に跪いて私の手を握るコウさんがいて。
その手はうっすらひんやりとしている。
「寝て…た?」
「そうだろうねー。」
「……あっちゃー。」
「なにそれ可愛い。
てかオムライスも食べてないじゃん。」
「寝たの多分朝だから。ごめんなさい。」
「疲れてたんじゃない?
温めたの食べてくれれば問題ない。」
疲れてた?
ああ、まあ考え疲れ?
「ホント、いつの間に……
って、あああ!!!」
思い出した!
そういえばこの人は!
「何、大声出して。」
「コウさんあなた一体…」
―――ピーンポーン…ピンピンピピピピピーンポーン
私の声を遮る連打されたインターホンの音。
「あー、准くん来た。」
身軽に立ち上がり玄関へと急ぐコウさん。
今言おうと思ったのに!