狼少女と王子様
私がそう決めて
二人の家に行ったのは小学4年の頃
「よしっ。」
今日はバレンタイン
これまで一回も本命を渡したことがなかった
私の心臓はバクバク
インターホンを鳴らそうとした時
「じゃあ、またね。」
「おう。またな。」
女の子の声と海の声
親しげに話す二人
次に聞こえたのは二人の親の声
「じゃあ、また今度ね。
凛ちゃん。」
「ありがとうございました。
でも、本当にうちの娘で良いんですか?」
玄関のドアを開けて話している為
会話が丸聞こえ
それに私には誰一人気づいていないらしい
「ええ、もちろん。
凛ちゃんが海と結婚してくれるなんて
嬉しいわ。」
結婚?
嬉しい?