狼少女と王子様
「お姉ちゃん、苦しいよ。
熱いよ。助けて。」
葵?
どこにいるの?
私はここにいるよ
「茜、葵だけでも助けてあげて。」
お母さん?
何言ってるの?
二人とも何処にいるの?
「葵だけでもね・・・。」
何?
聞こえないよ
「お姉ちゃん!助けて!」
声のした方を向くと
車が燃えながら倒れていた
私だけが何の傷もなく立っていて
お母さんと妹の葵が車に挟まっていた
「葵、お母さん!」
叫んでも届かない
だってこれ夢だから
小さい私はただ突っ立ているだけで
助けることもできずに泣いていた
お母さんはもう絶対に
助からない状況だった
葵は助けようと思えば助けられた
でも、その時の私の頭は真っ白で
救急車とかが着いた頃に
意識を失った