狼少女と王子様



渓に何が分かるっていうの?



何が・・・。



私はこれ以上弱いところを

お前に見られたくないのに・・・。



お前はづかづかと

私の心の中に入ってくる





「これ以上私の心の中に

入って来ないで!」



また優しくされたら

私、壊れてしまうから




もうやめて!



「泣きながらそんな事言われても

納得できるかよっ。」



私、また泣いて



ありえない。

嫌いなのに。




渓にあんな事言われて



嬉しいって

思ってる




渓は少しずつ私の方に歩いてくる


私は思わず後ずさった





ドンッ


壁に背中があたり渓の腕に

囲われてどこにも逃げられない




「何よっ。」


睨んでも渓はそこから退かない



それどころか

渓の顔がどんどん近づいて・・。


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