狼少女と王子様
伊純とは顔を合わせにくいけど
凛が怖いので教室に帰ります。
「男なんか信じらんない
男なんか大嫌いだ!」
私は呪文のように言いながら
教室に戻った
そうしないと
伊純に気持ちが傾きそうだったから
また、裏切られるのが
怖い
そう、私はまだ怖さに
怯える弱い生き物
ただ強がってるだけ
自分が傷つかないように
今、私がしていることは
自己満足だ
教室に戻ると葵の行方だけを考えた
お昼になって凛が私の元に来たけど
私は葵と渓のことで
頭がいっぱいでお昼も食べずに
ずっとぼーっとしていた
「茜?教えてくれない?
葵ちゃんのこと。」
凛が不安そうに問いかけてくる
何処かこの話に触れてはいけないのかもと
いうような雰囲気で、
私は戸惑いながらも笑った