狼少女と王子様



伊純とは顔を合わせにくいけど


凛が怖いので教室に帰ります。




「男なんか信じらんない

男なんか大嫌いだ!」


私は呪文のように言いながら

教室に戻った




そうしないと

伊純に気持ちが傾きそうだったから




また、裏切られるのが

怖い



そう、私はまだ怖さに

怯える弱い生き物




ただ強がってるだけ

自分が傷つかないように





今、私がしていることは


自己満足だ





教室に戻ると葵の行方だけを考えた




お昼になって凛が私の元に来たけど


私は葵と渓のことで

頭がいっぱいでお昼も食べずに



ずっとぼーっとしていた





「茜?教えてくれない?

葵ちゃんのこと。」


凛が不安そうに問いかけてくる



何処かこの話に触れてはいけないのかもと

いうような雰囲気で、


私は戸惑いながらも笑った


< 59 / 100 >

この作品をシェア

pagetop