狼少女と王子様
そんな事知らなかった私達は
いつも我が儘言ってた
母は次第に弱っていった。
入院するくらいに
「私達が母を苦しめた」
凛は俯きながら話す私を
抱き締めながら
まるで自分事のように聞いてくれた。
母が弱れば弱るほど
あの人の暴力は
エスカレートしていった
そして、母が初めて
外出が許可された日
あの人が事故を起こした
久々の家族が揃った日
あの人は母を事故に
あわせる気はなかった
あの人は母と車から出ようとした
でも、母は娘だけ
車に残す訳にはいかないと反対した
あの人はカチンときて
母も乗せたまま事故を起こした
葵と私は助かった
母だけ死んでしまった
あの人は抵抗なんてせず
大人しく警察に連れてかれた