狼少女と王子様



次の言葉が怖い



内心ビクビクしながら

海の言葉を待った





「茜。」


ドキンドキンッ




「傷つけてごめんね。」

「えっ?」


予想外の台詞に頭はフリーズ




今なんて言った?


ごめんねって聞こえた気がするけど



空耳だよね?




「茜、もう一度言うよ。

傷つけてごめんね。」


空耳じゃない




「なんで、海が謝るの?」


だって海はなんにも

謝ることしてないじゃない





あの日は勝手に私が誤解して


傷ついて

それどころか傷つけて



あの日のこと謝るのは

私の方なのに




「なんでって、どんな理由だろうと

茜を傷つけちゃったから。」


どうして、海も渓も

嫌った私に優しいの?




「ねぇ、どうしてそんなに優しいの?」


「知りたい?」


コクンッ


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