狼少女と王子様
好きだから。
昔の償いの気持ちじゃなく
俺が茜を守りたいから
「ありがと。もう離して。」
苦しそうに苦笑いする茜
どうやら相当強い力で抱きしめていたらしい
離すと今まで見たことがない
優しい顔で笑った
ドキンッ。
これがギャップ萌えってやつか?
や、ばい
可愛い過ぎる
「ごめん。もう帰らなきゃ。」
ふと時計を見るともう8時だった
「送ってく。」
茜は断らなかった
俺は断られると思っていた為少し驚いた
俺の家の玄関を出ると目の前に
海が目を開いて立っていた
茜が気まずそうに俯く
「渓、なんで茜といるの?」
「えっと。」
今日あったことを話したいのは山々だが
茜のプライバシーに関わる事だから
次の言葉が出ない
「茜?」
切なそうな顔の海