狼少女と王子様

茜〜side〜

「海の馬鹿。」


家に帰ってからこれ以外の
言葉を発していない


あんまり言ってると海に
聞こえちゃうかも


今、少しだけ渓に
甘えたことを後悔している


私は最低な人間だ


甘えたのは私なのに
それを海に知られたくなかった


どっちが好きなんて分からない

渓に甘えて
海にすがって


いつも曖昧


何もかも中途半端

葵すら見つけられない


「ごめんね。」

涙があふれた




翌日


いつものように上履きを
履こうとしたとき

上履きに画鋲が入っていた


うわぁ。

幼稚な嫌がらせだなぁ

っと思いながら


やったと思われるクラスの女子に
同じことしてやった


< 94 / 100 >

この作品をシェア

pagetop