一夏の思い出。
「着いたぞ!」
そう言われて顔をあげたらそこにあった表札は、
「し、ま、な、み?」
「そう!ここは、
島波.結斗[しまなみ.ゆいと]ってヤツの家なんだ。
顔はいいけど惚れるなよ!」
と、夢汰は、むぅ っとしながら言ってきた。
あたしは、
「あたりまえじゃん!
あたし好きな人いるし。」
と答えた。
「マヂか!誰なんだよ、それ。」
夢汰が真面目な顔をして言ってくる。あたしは少し怖くなって、
「そんな事はどうでもいいから、早く島波くんちに入ろう!」
あたしは話をそらし
勝手にチャイムを押した。
中から出てきたのは、
髪が黒い夢汰とは真逆の色素の薄い、茶色の髪の男の子だった。
「お!結斗、今日はイトコも連れてきたけどいいか?萌依って言うんだ。」
「こんにちは。」
あたしがあいさつをすると彼は、
「こんにちは!
どうぞ、入って。」
と快く中へ入れてくれた。
玄関には、島波くんの靴と見られるものと、女ものが1つに男物があるだけだった。
「あ!亜美、もう来とるんやな!」
「あぁ、とっくのむかしに!」
あたしはその会話を黙って聞いているしかできなかった。
だって、あたしはその亜美って子はもちろん、島波くんの事もあまり知らないし、この雛見沢村の事もあまり知らない。
だから、くやしかったんだ。