Blood smell 2
トレーを私の前に差し出し
紅茶とマカロンを並べ
愛子さんは学園長先生の隣に腰を下ろした


「おじい様の使っていた家はどうかしら?」


おじい様?

「曾爺さんの住んでた家?
そんな古いものまだ存在してるの?」


「ええ。
おじい様は純血のヴァンパイアだったけど
人間に興味を持っていて
東北の奥地にひそかに家を建てて住んでいらしたのよ。」


「懐かしいな…。
昔はよく人間の話を聞かされた。

なるほど…そこなら彼らが来ても
安心だ。」



「どうして、安心なんですか?」

修二の曾おじい様が純血のヴァンパイアだったなら
彼らも場所を知ってるんじゃないの?


私の質問に愛子さんは微笑んで口を開いた

「おじい様が生きていらしたころは
まだ人間への偏見が強くて
人間に興味を持つなんて厳罰だったの。

そこで
人間と交流を持ちたかった
おじい様は誰にも知れれないように
偽名を使って人間になりすまし
屋敷を立てたのよ。

だから
私たち以外誰もその屋敷の存在を知らないの。」


「俺も聞いた事なかったな。」


「当たり前だ。
私だって冗談程度にしか話してもらってないし
両親すら知らんかった話しだ。」


「なら…そこへ行こう。」


修二が私を見る


私も力強く頷いた
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