Blood smell 2
「確かに…追手のヴァンパイアの事を考えると
怖くてたまらない。

でもね
それよりも
私のせいで大切な人たちが傷つく事の方が
怖くて…不安で仕方がないの。」



私は人間


それは何よりも弱くてもろい存在
だから
修二やそのご両親は
私を必死で守ってくれる


でも

それで誰かが傷つくのは耐えられない

守ってくれる気持ちはありがたいし
嬉しいけど


けど…


「修二を失う事が…怖いよ。」


いつの間にか瞳にたまった涙のせいで
視界がゆがんで
修二がどんな顔をしたのかわからなかった


それでも
降ってきた冷たい唇が
微かに震えていたのはわかった


修二も怖いの?


聞きたかったけど

聞けなかった


今は何も考えず


何もわからなくなるくらい

この冷たい熱におぼれたかった
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