Blood smell 2
ログハウスにはテレビもなく

携帯も圏外


得に遣る事のない私は
ログハウスの前に置かれたベンチで
本を読んでいた


修二の曾おじい様の本は
日本の江戸から明治にかけての書物が多く
今では手に入れることすら不可能なものばかりで
私は夢中で読んでいた



修二と学園長先生は狩りに出かけ
愛子さんはキッチンでランチを作っている


本当に平和で
ゆっくりとした日々


ちょうどいいところまで読み終えて
大きく体を伸ばした時


ゾクリっ…


不意に首筋に気配を感じた


バッと辺りを見回すと
一枚岩にあいた穴から何かが飛び込んで来る


何?


!!?


その存在に気付いた時にはもう遅く

私は強烈な腹痛と共に地面にひれ伏していた


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