Blood smell 2
皇帝と教皇



うっ…



全身を襲う寒さに
私はゆっくり瞼を開けた


次第にはっきりしていく意識


…私…


記憶の最後をたどると
急に腹部が痛んだ


その痛みと
後ろに拘束された腕が
自分の置かれた状況を
鮮烈に私に叩きつける


暗い室内

石造りの小さな部屋は
天井に小さな明かりとりの窓があるだけで
とても寒く


唯一の出口の木戸には
壁に繋がれた足枷の鎖のせいで
届きそうになかった



無音の空間


時間もわからない


次第に恐怖がこみ上げる



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