魔法学園ユートピア

「良いわ。

力で身体が満たされたわ。」


「いや、抱きついてますけど、」

「良いから。

今の感覚を忘れないで。」


「はい。」

「もう力を消して良いわ。」


魔力が収束する。

「学園長、いつまで…」

「そうね、こういう時は私を抱きしめるべきじゃない？」

「いや、あいつらが見てますって。」

「そう。

なら、私が勝手にするから良いわ。」

さらに強く抱きつく。

「はぁ〜。」

幸大が溜め息をつく。

「一瞬ですよ？」


抱きしめる。

少しの間、二人は動かなかった。

「一瞬、じゃなかったの？」

そう言いながら学園長が離れる。

「一瞬の定義は曖昧だってことです。」

「そう。

じゃあ、私は行くわ。」


「ありがとうございました。」


幸大が後ろを向くと睨まれた。

「お兄さん！

そーゆーのはよくないです！」

奈都が抗議する。

「先生、ちょっと軽蔑します。」

石動が一歩下がる。

「不潔ですわ！」

神宮寺がジェスチャーであっちいけと言う。

「公衆の面前で何やってんのよ。」

亜紀が肩をすくめる。


「いや、先に学園長が、」

「学園長がどうかしたんですか？」


狭山が現れた。

「何と言うタイミングだよ。」