魔法学園ユートピア
狼男
休み明け

神宮寺の転校を残念がる者はいても、不審に思う者はいなかった。

午後には、さらなる騒ぎが起こったからだ。



「犬?」

狭山の話を聞いた幸大が聞き返す。


「そうなんです。

体育の途中から犬が入ってきて生徒を追い回すわ、生徒も構うわで、授業なんてできませんよ。」

「今、その犬は?」

「さぁ?

授業時間が終わっても生徒たちは構い続けてましたから。」

「犬はあまり好きじゃないというか、動物があまり好きじゃないんで関わりたくないです。」

「シショー、私は犬、触りたいです!」

クリスが手を挙げる。

「今日の授業はもう無いから、探して来ても良いぞ。」

「では、行ってきます!」


クリスが走り出す。


「えいっ。」

むぎゅっ、

背中に重圧。

「学園長。」

「何かしら?」

「…何でもないです。」


「学園長、実は学園に犬が、」

狭山が伝える。

「生徒たちから聞いたわ。」

「授業に支障が出るんですが…」


「そうなの?

…なら、可哀想だけど追い出さないとね。

その犬は何処に?」

「今、クリスが探してます。」

「あの子、見つけても言いにくるかしら?」

「おそらく、仲良く遊んでいるかと。」
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