マイ・シュガーランド
「―――頭の中で、一度考えるんだ。
今はこうやって言えばいいな、とか。
自分の思いじゃないからセリフ口調になる。
セリフっぽいなって自分ではわかってたけど、今まで誰にも気付かれなかったんだけどな。」
柘植さんは、フゥと、小さな溜め息をつく。
「―――偽りの自分だけど、それでも大切にしたい人がいたんだ。
でも、うまくいかなかった。
サクラさんと同じ。
捨てられた。」
驚きを隠せずにいるわたしを気にすることなく柘植さんは続ける。
「もう、女は信用できない。
一生、誰も好きにならない。」
まっすぐ、わたしの心に突き刺さる。
好きとか、そんなんじゃないけど、優しくされて少しでも自惚れていた自分が恥ずかしい。