白銀の翼~白銀の彫刻と金の瞳の乙女~
小さな赤子を抱き締めながら

シロアナは泣いた。

これからの運命を奴隷として

生きてゆく少女のために。

ついこの間生んだ命。それが

すぐにこんなことになるなん

て…。

いつまでも赤子を放さない。

少女にクロンはつぶやいた。

「生むと決めたのはお前…

だろう?」

「っ…それは…」

困ったような青年をよそに

シロアナは一人泣き出した。

腕の中の子は無邪気に笑って

いる。

「ごめんね…」

「ほら…シロアナ」

促されてしぶしぶと立ち上がる。

もう反論する気もないし、

体力もない。

腕の中の子をただ抱き締める

だけしかできなかった。
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