白銀の翼~白銀の彫刻と金の瞳の乙女~
「ファラリナ」

「はい」

「お願い」

涙に濡れた黒い瞳をあげて

シロアナは我が子を夫となる

はずの妹にそっと差し出した。

その瞳には迷いが、後悔が、苦

しみが、悲しみが揺れていた。

「無事に…この子を」

「かしこまりました。お兄様、

お義姉様 。…お元気で」

「そうだわ…これを持って

行って」

シロアナは自分の首に掛けてい

たペンダントをはずした。

それは銀の鎖で、一つだけ小さ

な瑪瑙がついていた。

「お守りよ」

「ありがとう…ございます。」

片手で赤子を抱き、ファラリナ

はペンダントを握りしめた。

その腕の中でリセラはじっと

自分の母を見つめていた。
淡く光る金の瞳で。


それから数日後、ファラリナは

不吉な噂を耳にした。

とある国へ続く街道で土砂が

崩れ、黒い髪の少女と金の瞳を

した青年が遺体となり発見

された…と。
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