【短編】彼と私
その後、コンビニから店員が数人出てきて仲裁に入ったから彼も不良もケガはなかったらしい。
──あの、大丈夫ですか? ありがとうございました。
──あーうん。平気、平気。俺若いから。
──若いって… 関係なくないですか?
──関係あるって。俺はまだこんなに動けるんだなと実感した。
笑いながら話す彼から、目を逸らせなかった。
かっこいい。
そう思った。
このままただの他人でいたくない。
そう思った。
──……お詫びをさせてください。
気付いたらそう呟いていて、彼はとても驚いた顔をしていた。
──お詫びとかいいよ。俺が勝手にやったことだし。
──しないと、あたしの気が済まないんです!
そのときの私の顔は、とても必死だったに違いない。
とにかく、もっと話したかった。
もっと彼のことを知りたかった。
──じゃあ、お言葉に甘えて…