秋月紀行
おっと。そのまえに、
簡単に喫茶店『愛欄努』について、説明しておこう。
ちなみに喫茶店と言っているが、喫茶店としての営業はしていない。
秋斗曰く、前に喫茶店を経営していたある男性に、店ごと譲ってもらったそうだ。
(胡散臭いことこの上ない。)
店は譲り受けた状態のままで古びていて、看板も当時のまま、『愛欄努』の看板がついている。
だから冬真はもちろん、秋斗でさえ、その店の名前の意味を知らないのだ。
そんなわけで、周りからは探偵事務所ではなく、“不可思議な喫茶店”として有名なのだ。
だからここにくる客は2通り。
1つ目は、ここを不可思議な喫茶店だと聞いて、面白半分に来るもの。
そう、あの女子高生たちのように。
冬真達にとって、この手の客は迷惑なことこの上ない。