秋月紀行
その弐
どこにでもありそうな喫茶店。夜もふけるところ…。
店の奥のテーブルに、向かい合わせに座る男が2人。
閉店近い時間だったためか、2人の他には店員以外誰もいなかった。
中年のサラリーマンの男が、ハンカチで汗を拭きながら、向かいに座るフードをかぶった男に話かけている。
「ほ、ほんとなんだろうな」
フードをかぶった男は静かに頷く。
「た、たのんだぞ。あの男に復讐さえできれば俺は…」
そして、その中年サラリーマンは、フードをかぶった男から封筒を受け取り、逃げるように店を出て行った。
店の奥にフードの男の姿はなかった。