秋月紀行
*冬真と秋斗が出会ったのは
2年前の初冬。
少し肌寒い風が吹いていた。
冬真の父は刑事だ。
そんな父の背中を見ながら育ったせいか、冬真は刑事の仕事に憧れていた。
いつしか父のように事件を解決したい。
小さな頃から、冬真はそう思っていた。
ある日、冬真は父に頼んで、事件の現場の近くまで連れて行ってもらえることになった。
「ここから近寄るな。邪魔になるからな。」
と、父に言われたので、現場から離れたところで、父達の様子を見ていた。
遠くからだったから、現場の状況は詳しく見られなかったが、現場の雰囲気は味わうことができた。
冬真はそれだけで、満足していた。