秋月紀行
そんな中、刑事や警察官と思われる人達の中で、ある1人の青年に冬真の目は止まった。
自分と同じか、あるいは、自分より年下と思われる青年が、現場で刑事たちと会話していたのだ。
(どうしてあんな子供が現場にいるんだろう?)
冬真は、初めは彼は目撃者で、事情を聞かれているのかと思っていた。
が、冬真の予想は外れた。
なぜなら、彼は刑事達と同じような、白い手袋をつけていたのだから。
『父さん、彼は誰?』
冬真は父を呼び、尋ねた。
『あぁ、あの子はちょっと刑事達の間で有名な子でな。信じられないだろうが、彼は優秀な探偵だよ。あくまで“自称”だがな。
まっ、現場の刑事達より頭ひとつ飛び出るほど、優秀な探偵くんさ。』
冬真は言葉を失った。