ヒロインになれない
彼の学校
朝、8時に家を出る。学校まで歩いて5分。早めに行って職員室に行き挨拶をしなければならないから…
紫輝さんの家の前を通った時…中からは出てくる様子はなかった。
「……………」
一緒に行きたかった。
なんて思ってはいけない。
「あ…」
前を見ると、紫輝さんの彼女さん…今日も可愛い…制服がすごく似合っていて…
「おはようございます。」
笑顔で挨拶をして下さったけど、今の私には辛かった。
「おはよう…ございます。」
「紫輝先輩…起こしに来たんです……阿木さんは今から学校ですか?」
「はい、転入ですので…早く伺わないといけないの。」
「そうなんですか?呼び止めてしまってゴメンなさい…じゃあ…」
「………はい、また。」
彼女さんは、素敵な人。優しくて…邪魔なはずの…元婚約者の…私に気を使って下さる。
本当に素敵。
私とは違う。
私はどうしたら、紫輝さんが…私を見てくれるか…どうしたら、好いて下さるのか…ばかり考えてる。
嫌な女。