ヒロインになれない



「っ…ありがとっ……だけど……綺麗なハンカチ……汚し…たら…」


「綺麗?こんな安物のハンカチがぁ?大丈夫だよ?はい!」


愛さんは手を伸ばし…私の頬にハンカチをあて、涙を拭き取ってくれた…。



「ありがとぉ…」

「いいよ、こんなこと!」

「っ…」


彼女の笑顔は不思議…すごく、心が温かくなる…


「何やってんだー?」

「先生!体育館寒すぎて、阿木さん体調悪いみたいなんで保健室に連れていきますよー?!」

「あぁ、頼む。」

「はーいっ!」


急いで来た先生を、すらりとかわす彼女…すごい…


「すみません、」


私は一言だけ、先生にそう言い…愛さんの後に続いて…体育館を去った。




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