ヒロインになれない
おじ様もお父様もお母様も嬉しそうで、ずっと笑っていらっしゃる。それは他の方も同様で…
「紫輝さんっ!愛さんっ!」
たくさんの人のなか…私は見つけたお二人に声をかけた。
「阿木さん!」
「お前、何が小さなパーティーだよっ!親父もいるし…帰る」
「いつまでお逃げになるつもりですか?」
「は?」
強い、意志の篭った瞳…その瞳が好きでした。
「おじ様からずっと逃げ続けるのですか?」
「阿木さん??」
「お前に何がわかるんだよ!」
「わかりません。ですが、一つわかるのが、紫輝さんは逃げているってことです。」
「っ、」
「おじ様が反対しても、話して…何故、承諾を得ないのですか?!」
「俺はー」
「和泉を継ぐのが嫌ですのっ?!」
「…っ、」
「紫輝さんっ!!」
「…継ぎたい……それが、夢だったから…」
よかった…
「それを聞いて安心いたしました。行きましょ。」
お二人の手をひき…私は、前にセットされてある舞台まで近づいた。
「本日は婚約披露パーティーにお越し頂き誠にありがとうございます。本日の主役、和泉家嫡男の紫輝様と阿木家御令嬢、千鶴様ですっ!!」