ヒロインになれない
「お前っ!!」
騙したのかっ、とおっしゃりたそうなお顔が可笑しくて…笑いそうになるのを我慢した…
「…少し、待っていて下さい。」
私はお二人に、舞台下で待機して頂き、一人舞台に上がった。
周りはざわめく…
紫輝さんは?という表情。
「本日は、お越し頂き誠にありがとうございます。阿木千鶴でございます。」
「千鶴さんっ、これは…」
「千鶴っ!!」
不安そうなおじ様に、怒り気味のお父様。前までは怖かった…だけど、何も怖くないー。
「私の話を聞いて下さい。本日は私と紫輝さんの婚約披露パーティーではございません。」
ざわめく会場内。
響く私の声ー
「私が兄のように慕う…紫輝様とその恋人であり、私の友人の愛様の婚約披露パーティーでございます。」