ヒロインになれない



「相良さん…」

「よく頑張ったな。何が兄だよ、バカ。」

「いいんですの、私が満足していますから!」

「そっか…」

「……………」

「……………」


沈黙が続くー、相良さんは何もおっしゃらない…


「私、転校します。」

「は?」

「前の学校に戻ります、月曜日から…」

「そっか…」

「お見合いもします。」

「はぁぁぁあっ?!」

「そんなに驚かれます?」

「だって、おまっ…」


「いいんです。断りますから、ハッキリと…」

「そうかよ。」

「次は、私が好きになった人に振り向いて頂けるように頑張りますー、私だけを好きになって頂けるように。」

「あぁ、」

「だから…」

「がんばれよ。」

「…はいっ」


いつもは暖かく感じる手がー冷たく感じた。



私が相良さんに会った…最後の日でした。


転校してから、愛さんに聞いたのは、相良さんも急に転校し…連絡も取れなくなった…ということだけでした。




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