ヒロインになれない
「…ふぅ、」
お見合い、なんて久しぶり。あの時はー紫輝さんと結婚すれば幸せだと信じていた。
「行きますよ、千鶴さん。」
「はい。」
今回は、名前も聞いていない、顔も拝見していない…だって、写真だけを見て運命だなんて、バカみたいだから。
「……………」
もし、運命があるならばー顔を見た瞬間に感じる。
「こちら…」
もし、次に私が好きになるならばー
「阿木千鶴さんです。」
私だけを…愛して下さって………
「阿木千鶴でございます。」
私を…少女漫画のヒロインのように…特別にして下さる人………なんて、
「相良大翔…です。」
「っ…」
夢……なんだろうな。
「バーカ。」
ほら、そこには…少し意地悪だけど………
「狡いですわ。」
「お前がな。」
私だけを愛して下さる、最後の人がいる。
END