あの気持ちをもう一度
駅からあいつの家は電車に乗らなければいけない。
いや、自分の家も同じ駅だから別にいいんだけどな。
ただ、あんまり電車は好きじゃない。
知らない女がチラチラ見てくるし、あげくには話しかけてくる。
それがたまらなく嫌だ。
でも乗らなければいけないというこの辛さ…。
「うわぁめっちゃ混んでる」
拓也がきた電車を見て顔をしかめた。
こいつはただ窮屈なのが嫌いなだけだ。
前にオヤジが近すぎんのが嫌だって言ってた気がする。
「乗るしかないだろ。置いてくぞ」
今度は俺が拓也を置いて先に行く。
拓也も慌てて乗ってくる。