あの気持ちをもう一度
俺は気づいてなかった。 今愛歌がどう思ってるのかなんて…。
「仕方ねーって…なんでそんなふうに言うんだよ!」
拓也が悲しそうな瞳を俺に向けながら詰め寄ってくる。
「拓也…。愛歌はたくさんの愛情や体温が欲しいんだよ」
隠すわけにもいかなくて少しだけ愛歌のことを話した。
「知ってる通りあいつは親が嫌いだし、親もあいつを気にしてない。家に帰ってきたりもしない」
「辛いよな」
拓也が聞いてうつ向いてしまった。
「あぁ。あいつは小さい頃に親に愛された記憶がない。だから他に愛してくれる人を探してるんだ」
「でも、だからって浮気は酷いだろ!!」
何があっても俺の味方をしてくれる拓也。
俺にはこんな友だちがいるけど愛歌にはいない。
寂しいのはわかるんだ。
「大丈夫。ありがとな」それきり黙ってしまった。