私の初恋は夕日に染まる
プロローグ
~プロローグ~
私は正門をくぐる。
これから待っている明るい未来を信じて・・・。
「お~い。愛莉紗~」
後ろを振り向く。そこには慣れた足取りでこちらに向かってくる美月がいた。
「あっ、美月~なんだ美月かぁ」
私はいつものようになれた口調で美月にあいづちをうつ。
「なんだぁ。美月かぁって何よぉ。まったく。もう。」
「キャ~湧さまぁ~」
女子の奇声が私の耳へ入ってくる。
「どうしたのかなぁ??」
私はきょとんとした顔で美月の顔を覗き込んだ。すると美月は
「あんた湧さまを知らないの??」
と言ってきた、湧さまなんて知らない。むしろ私は恋愛に関して鈍い方だから、むしろ経験がないのだ。そんな≪湧さま≫なんか興味がない。
「湧さま?学園的アイドルなの、その人??」
私は知らない事だから詳しそうな美月に聞いた。美月は
「えぇ?湧さまは学園的アイドルっていうかなんというか、まぁ入園式の時児童代表の言葉言ってたじゃん。忘れたのぉ??」
美月は馬鹿を見るかのように、私の顔を覗き込んだ。
「だって・・・。湧さまってARASHIじゃないんだからぁ」
私は小馬鹿にして笑い返した。
「そんなこと言ったってぇ。じゃあ愛莉紗は湧さまの事知ってるの?」
切り返すのに戸惑った。だって私は湧さまの事なんてこれっぽっちも知らない。
「そんなこと言ってる美月が教えてよ。私知らないもん・・・。どんな人なの?っどうせ皆ルックスだけでキャーキャー言ってるんでしょ?」
すると美月は仏頂面を私に見せたあと、
「そんなこと言ったって。私だって本名も何組かもしらないわよ。≪湧さま≫しか分からないし・・・。これから研究するわよぉ~」
私は内心、「美月もしらないんじゃない」と思いながらかなり引きつった作り笑顔でごまかした。