私の初恋は夕日に染まる
出会い・・・
~出会い~
「次体育だよ~」
美月が声をかけてくれる。
同じ中学のころからの付き合いの美月とはいつも一緒だ。
「うん。先行ってていいよ。ハリ先上松、怖いし」
ハリ先上松とは、体育就任の怖い先生だ。通称・ハリ先上松。
「分かった~1人で大丈夫?間に合うようにきなよ。最初から目、付けられたら笑い事じゃ済まないから~」
美月の忠告を着替えながら軽く聞いて、
「分かった~じゃあまたあとでね~」
美月は少し不安そうな顔をして、私の顔色をうかがいながら、
「分かった~じゃあ先行くね~着替え早く終わらしちゃいな~」
と笑いながら美月は教室を後にした。
着替えが終わって、教室を出ると、湧さまの取り巻きがたくさんいた。
厄介なのと遭遇した、と思っていると、そのとりまきの1人が湧さまにボディタッチしようとたくらんだのであろう。湧さまの持っているバケツが手から離れ、私の方へ来た。避けようとしたが手遅れだった。もうびしょびしょだった。
周りの男子がやけに見てくる気がする。すると湧さまが、
「大丈夫?怪我ない?」
湧さまが私の顔を、心配そうに覗き込んでくる。
さらさらした髪の毛。漆黒の瞳。甘い香りのする衣服。
≪ドクンッ≫
何だろうこの気持ち?こんな気持ち初めてだ。
一瞬、チョコレートを溶かしたような気持ち、そして、彼の顔を見るたび、締め付けられるような、胸の痛み。
恋愛小説で、見たことがある。この気持ち。これ以上ないってくらい、上手い、表現だと思う。
何でだろう。何でこんなに切ないんだろう。
「おーい、聞いてる?えっとぉ~・・・。」
彼は私の、体操服のゼッケンを覗き込む。
「櫻井…愛莉紗ちゃん!?」
「バタンッ!!!!!」
私はそのまま倒れた。
次に目を開けた時は、保健室の天井を眺めていた。
「おーい、愛莉紗ちゃん?やっと目が覚めた。ハリ先上松には、俺から伝えておいたよ。大丈夫?急に倒れたから、びっくりしたよ(笑)。」
最悪だよ、もう死にたいよぉ~(泣)